言葉の源流は、どこにあるのでしょう。


言葉の豊かさは、人生の豊かさに影響しますから、

源流を探りつつ、言葉の世界を深めていくことは、

決して無駄なことではないでしょう。



単なるおしゃべり(話し言葉)でも、
頭の中では、書き言葉(文字)が浮かんでいます。


日本の文字は、漢字に根差していますから、
言葉の源流探しに、漢字の歴史が一役買ってくれそうです。



漢字の起源とされる「篆書」(印鑑等で使われる書体)は、

象形性(絵文字っぽさ)が色濃いため、現代の文字との隔たりが小さくはありません。



そこで、文字としての体裁を初めて整えたとされる「隷書」をもって、

言葉の源流と解することにします。



では、隷書とは、どのような文字なのでしょう。

隷書といっても様々ですが、ここでは「曹全碑」を前提とします。


【曹全碑の例】




隷書の特徴を一言で示すならば、「生命感」でしょうか。

まるで、心臓が脈打つような数千年の時を経ても躍動を感じませんか。



造形(字形)は上下につぶし(扁平)、

骨格(線質)の中にエネルギーを圧縮(中鋒)。



その圧縮したエネルギーを、

滑らかな運筆によって、伸びやかに放っていきます(波磔)




その隷書の「生命感」が「美」となり、後の書体(草書・行書・楷書・仮名)に、

書き言葉を前提とする話し言葉に、受け継がれていきます。



私たちが、何気なく話す言葉の中にも、

隷書は存在するのです。



書の世界では、

「隷書は書の上達の近道」と言われます。



それは、隷書こそが、

私たちの言葉(こころ)の「源流」と

言えるからかもしれません。



                                                              書法道場師範 武田双鳳