先月の全国書道コンクール「たなばた展」では、

大人の生徒のみなさんが素晴しいチャレンジをみせてくれました。


このコンクールには、
大きく(1)規定部と(2)随意部と2部門があります。



(1)は、お手本の通りに書く部門。目指すところは、お手本のコピーではなく「通じる」こと。
お手本の書き手に寄り添い、その理想とする書に向け共に歩む。

手本という他者を伴うことで、自分だけでは出会わない景色に「通じる」体験をしていきます。



(2)は、お手本なしで書く部門。
自らの知識や技術、感性などをフル稼働させ、書をつくります。
ただ、ベースは古典書法であり、書の世界では
@結構法(字形のとり方)、A筆法(筆の使い方)、B章法(字の配り方)が大切だと言われています。



そのため、一般的な書道のお稽古では、基本線や臨書など、@〜Bの反復練習を行います。

ところが、今の私たちが、それだけの練習で終わってしまうと、「みせかけ」にしかならない恐れが多分にあります。



@〜Bを導き出し、書を文化として高めていった古人の身体には、「足腰がある」という前提がありました。

今の私たちの身体は、どうでしょう。昔の女性のように、米俵5俵(300キロ)をかつげる足腰はあるでしょうか。



もちろん、ボタン一つで荷物が届く私たちが、薪割りなどをしていた古人の身体に戻ることはできません。
しかし、身体感覚と表現手法は表裏一体です。


身体感覚を無視して、手っ取り早く@〜Bだけを上達させようとする稽古は、
果たして、「ほんもの」の書を生み出すことができるのでしょうか。


当道場の稽古で身体感覚を味わう時間を大切にするのは、
「ほんもの」と触れ合いたいから。


その触れ合いの中にこそ、「豊かに生きるタネ」があるような氣がしてならないからです。




                                                              書法道場師範 武田双鳳